東京裁判が、法的に正しいものだったかは分からない。
日本軍や日本政府の首脳陣を、戦争開始時には制定されていなかった「侵略の罪、平和に対する罪」で裁けない、と最後まで主張したオランダとインドの判事たち。
しかし、イギリスの判事たち多数派は、戦争を始めた日本人リーダーたちを死刑にしなければ、日本が主権を取り戻した後に、また戦争が起こることを考えた。
フィリピンや中国の判事たちは、残虐行為で殺された自国民を代表する立場から、赦すことはできなかった。
賛否両論の中で、2年半かけて、戦後処理として、前に進まなければいけなかった。
ドイツのニュルンベルク裁判と同様、被告たちを戦犯として有罪にし、後の侵略戦争への抑止力として、判決を出さなければならなかった。
しかし、その後の歴史は、とても皮肉だ。
侵略戦争ではなく、アメリカとソ連の冷戦が始まる。資本主義と共産主義の領土争い。
侵略が行われた時、実際に軍隊を派遣し、戦わなくてはいけなくなる。
戦争を無くすことはできない。
しかし、第二次世界大戦の教訓は、今もなお、生きていて、第三次世界大戦は、今のところ、起きていない。
アメリカ軍が、局所的な侵略戦争に介入しなくなった時、果たして、大きな戦争を防ぐことはできるだろうか?
東京裁判で作られた、戦勝国よる正義は、その効力を持ち続けることはできるだろうか?