福子さんの家は学校の先生の家に見えない。土間が広くて商家か農家の様に見えるけど、家は親から引き継いだみたいな設定か。
実家て静かよね。ヘリが飛ぶ音も救急車のサイレンもパチンコ屋の音楽も聞こえない。冒頭、八女茶をご馳走になってる時に山鳩のポーポッポポーて鳴声が入るんだが、これ聞こえるの実家に帰ってる時くらいやなぁと思う。
嫁入りなんかで縁もゆかりも無い地に行く時、どんな気持ちになるんだろうか。故郷でもなんでも無い地で、ずっとここで暮らすと決めた時、初めて観たこの景色をこれから何度も何度も見るんだと思った時、福子さんはなぜ泣いたんだろうか。ヒロユキ君の彼女も、それを感じるんだろうか。
白いブラウスとヒールで山を登らせるなら、その演出も欲しかった気もする。
何もない人生ってのは無いんだなぁと思う。ヒロユキ君は嘆くけど、まだ本に書けるほどのボリュームが無いだけだ。生きていればいろんな事があって、思いだせばいろんな事があって、語り継ぐような程でもない小さい事でも記録があるなら読んでみたい。
実家に帰って、母親に若い頃の話を聞きたくなった。でも息子に話してくれるだろうか。