ときは徳川11代将軍家斉のころ。
ところは大和国高市郡高取。
百姓源兵衛と両親を亡くした新六は一緒に暮らしていた。
寛政2年、檜隈川の大水の際、新六はお里の命を救うが、大水の影響か盲目となる。お里は新六に恩義を感じ、新六の身の回りの世話をしたが、ふたりは源兵衛の勧めで夫婦となる。新六は名を沢市と変え、按摩で生計を立てる。
お里は新六の目が治るよう壺阪寺に毎夜お参りする。2年経って、沢市はお里がいないことに気づき、お里が浮気をしていると責める。
情けなくなったお里が壺阪寺へ通っていることを打ち明けると、
新六は自分も一緒に参拝したいと言い、その夜お里とともに壺阪寺へ向かう。
道中沢市は胸が痛いと言い出し、持病の薬を取ってくるようお里に頼む。お里が去ったことを確認すると、沢市は谷底目掛けて飛び込んだ。戻ったお里は、谷底に沢市の姿を見つけ、そのまま後を追う。
明け方に意識を取り戻した沢市は横に倒れている女を見つけ声を掛けた。お里も目を開け、二人は幸せに暮らしたと。